昔から、音や人の感情にとても敏感なところがありました。
父のくしゃみの大きさにびくっとしたり、誰かのちょっとした表情の変化で気持ちを察してしまったり。周りからは「気にしすぎ」「神経質だね」と言われることもありましたが、自分でもその理由がよくわかりませんでした。
25歳を過ぎた頃、接客業の仕事をしていた時期に、その「敏感さ」がより強く出るようになりました。お客さんの目線や声のトーン、人と人との間に流れる空気の変化が、手に取るようにわかるのです。最初は接客という仕事柄、そう感じるのだと思っていましたが、どうやらそれは昔から自分が持っていた性質だと気づきました。
そんな時、偶然読んだ本の中で「HSP(Highly Sensitive Person)」という言葉に出会いました。
ページをめくるたびに「これは自分のことだ」と思うほど、すべてが当てはまっていたのです。まるで自分の心の中を誰かに正確に書かれたような気がして、驚きと同時に、不思議と安心しました。
「自分以外にも、同じように感じて生きている人がいる」——それを知った瞬間、少しだけ肩の力が抜けたように感じました。
音との付き合い方を変える
HSPという言葉を知ってからは、自分の「敏感さ」とどう付き合うかを意識するようになりました。
まず日常生活で一番困るのが「音」です。特に、くしゃみや咀嚼音などの生理的な音が苦手で、集中力が一気に途切れてしまいます。電車の中ではノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを使うようになりました。今は「Sony WH-1000XM5(Amazonリンク)」を愛用しています。装着すると周囲の雑音がすっと消えて、自分の世界に戻れるような感覚があります。出勤時のストレスがかなり軽減されました。
人との距離感を意識する
また、人との距離感についても意識しています。僕は相手の感情の動きに敏感なので、場の空気が重くなると、自分まで引っ張られてしまうことがあります。だからこそ、職場でも「自分に直接関係のないことには深入りしない」ようにしています。無理に場を和ませようとしたり、誰かの愚痴を聞きすぎたりすると、気づかないうちに疲弊してしまうからです。
一方で、「合う人」にはしっかり寄り添うようにしています。自分のペースを守りながら、信頼できる人との関係を大切にする。そうすることで、気持ちのバランスを取ることができています。
敏感さは、弱点ではなくスキルになる
自分がHSPだと理解してからは、その性質を否定的に捉えることがなくなりました。
むしろ、危機管理能力や周囲への気配りとして生かせる「スキル」だと考えています。職場では、ちょっとした違和感やトラブルの兆しにいち早く気づくことができるため、マニュアルの整備や改善点の提案など、目に見えない部分で役立てられている実感があります。
もちろん、常に周囲の空気を感じ取ってしまう分、ストレスが溜まりやすいのも事実です。ただ、そのストレスを完全に排除しようとするのではなく、「付き合い方を覚える」ことが大切だと思うようになりました。自分にとって心地よい環境を少しずつ整えることで、感受性を保ちながら穏やかに過ごせる時間が増えています。
理解されにくくても、話を聞いてもらえるだけで救われる
パートナーは、僕とはまったく逆のタイプです。物事を深く考えすぎず、あっけらかんとしている性格。HSPの僕から見ると羨ましいくらいです。
僕が「今日は人の気配に疲れた」と話しても、彼女は芯から共感できるわけではありません。それでも、きちんと耳を傾けてくれる姿勢があるだけで救われています。理解されることより、「受け止めてもらえること」の方が、ずっと大事なのだと感じました。
敏感さと上手に付き合うために
HSPとして生きるうえで、僕がいちばん大切にしているのは「自分の整え方」です。
ストレスを完全に避けることはできません。だからこそ、日々の中で少しでも心を回復させる時間を意識的に作るようにしています。特に睡眠の質は、心の安定に直結します。どんなに忙しくても睡眠時間だけは削らないようにしており、早い日は22時、遅くても23時には寝て、翌朝6時に起きるようにしています。7時間眠ることで、翌日の感情の波が穏やかに保たれるのを感じます。
自分のペースで働く未来へ
これから先も、今の働き方をずっと続けられるとは思っていません。
HSPという性質を持ちながら会社員として働くのは、どうしても無理をしてしまう場面があるからです。とはいえ、今の自分を否定するつもりもありません。今は「自分のペースで働く」という新しい生き方に向けて、少しずつ副業や独立の可能性を探っています。
敏感であることは、生きづらさでもありますが、同時に人の心に寄り添える力でもあります。
「HSPだからこそできる生き方」があると信じて、これからも自分らしく歩んでいきたいと思います。

